帰りの電車に乗る少し前から
仕事の事で珍しく考え事をしていた。
自分で並べた幾つかの素案が
すぐ様この手で綻んでいった。
気が付くと家の前に居る。
黒い扉の目の前に。
家の20m手前で鍵を出すのが癖になっていたけれど、珍しく扉の前で立ち尽くした。
煙草を吸うことにした。
手記を綴る。
扉を開けたら、もうやめだ。
僕は仕事というものが嫌いだ。
嫌いなんだから、完全にする。
知識を備えて
迅速に
最も正確に
これっぽっちの負い目もなく仕上げれば良い。
正しいものは正しいし
正しくないなら正せばいい。
でも塞がってしまった。
何とかしてあげられないものかなんて、馬鹿みたいに情が湧いてくる。
仕事なのに。
灰色を探している。
不思議な事もあるなってふと思った。
誰かさんに似てきたな。
柄にもない。

P.S
扉開けたから
おわりー
(=゚ω゚)