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LobLoy's diary

現実日記・妄想日記・夢日記

ぼんやりしたのがいる

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ぼんやりしたのがいる

目覚めた頃には、A駅だった。

1年半も放っておいた大学へ卒業の為に通い始めた頃だ。

何でも屋の仕事で、真夜中に銀座のBARへカウンターテーブルを備え付けに行き、朝日を浴びながらそのまま大学へ向かった日だった。

帰りの電車で僕は眠った。
また夜にも仕事があった。

僕の家まで歩いて帰る距離は、A駅でもB駅でも変わらない。その日の僕はA駅で降りることにした。後ろから「すみません」と女性の声がしたので振り返ると、僕より少し若いくらいの女の子が二人いた。

「すみません。急なお願いなんですけど、お友達になってくれませんか」

「え?」

「あ、いきなりでごめんなさい。良かったらお友達になってもらえないかと思って。もし良かったら連絡下さい」

「友達はかまわないけれど」

用意されていた言葉が帰着して、2人は僕にメールアドレスと「お友達になって下さい」と一文が書いてある小さな紙を渡してきた。

僕の手にそれが渡ると直ぐに彼女達は次の電車へ乗ってしまった。

僕は、唖然としてしまった。

考えられることは3つだった。

①彼女達は、沢山の友達をコレクションにしている

②実は僕の友人の誰かに、そのイタズラを頼まれ僕に仕掛けてきた

③かなり前衛的なマルチ営業か運命的な出会いを呈した宗教の勧誘

普通なら③をまず考えてみるわけだけど、どうも腑に落ちない。大体、流れというものがある。お茶に誘うとか、一緒にお酒を呑もうと誘い、本題に入るという段取りがない。加えて、あまりに不自然過ぎて、もしこれが演技なら良い役者だと思えてしまう。

②の線はどうか。こんなイタズラを思い付く友達はいないけれど、こんなイタズラを思い付く友達はいても良いと思った。

①なら僕も友達を増やしてみようかとなる。

僕は①に尽きるからと連絡をする。

僕達は、友達を始めた。

結局、彼女達は僕の大学に通う女の子達だった。

同じ講義を受けていた時に、何だかぼんやりしている人間がいると思ったそうだ。

そして、彼女達はそのぼんやりした人間に友達へのお誘いをすることにする。

僕はほとんど大学へ通わなかった。

大学の友人は、その二人だけだった。
一人は、恋人になった。
一人はそれを見届け、友達を終えた。
恋人は、最後に恋人を終えた。



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