「すごくお上手ですね」
「あ、すみません。難しい話をずっと聞いていると疲れてしまうので」
「いつも描いているのですか?小さい頃から?そういうお仕事を?あ、そんなはずはないですね。失礼しました」
「あ、いやそうですね。仕事ではありませんが、絵は好きなんです。小さい頃から。気晴らしというか。今日は時間稼ぎの落書きですが」
「素敵ですね。羨ましいものです」
というわけで全く絵には関係無いが、仕事には大事な研修会にて、隣の席に居た初老の男性と少し仲良くなりました。
僕は前から研修会ってどうも苦手で、資料に書いてある事を順に読んでいくスタイルの講義が更に苦手。だからよく落書きをして過ごしてしまう。
(官公庁関連の研修会って。1日の題目と講師が違うにも関わらず2/3は内容被る。)
過去の職場でも誰かが同席して受講する研修会は、基本的にお絵描きタイム。
修了後、ウキウキしながら職場で報告しました。
「研修会で落書きしていたら、知らない人に褒められたんだよ。いえーい」
「おお。あ、ここらへん色付けたいわね」
「そう!色鉛筆かペンがあれば本当に良かったのにって僕も思っていた」
「これ時間掛かったんじゃない?」
「うん!もうどうしたら時間稼ぎ出来るかを考えながら挑みました!途中に描くのも飽きた!」
「そっかぁ。これを描いてる暇があったら……LINEで送ったやつを見なさいよ!!!」
ガーガー!!!!
こっぴどく叱られました。
叱られるかもしれないと少し思ってました。
怖かった。

