友人と居酒屋で呑みながら、他愛も無い話をしていた。僕の後手のテーブルとその右手にも女性の二人組がいる。
「後ろの女は持ち帰れるよ」と友人が言う。
僕は8秒間ほど彼女を眺めて直ぐさま諦めてしまう。
ナンパなんてやっぱり無理な話だなって思う。
「好きになったから声を掛けるのではなくて、気になるから声を掛けるんだよ。ロブロイ君」
っていう友人の教えが頭の中で反芻している。
仕方がないから、もう考えるのはやめてしまう。
僕には無理な話だ。
お酒を呑んだ女性を口説くのはやっぱり好きになれない。寝るだけならそれは如何にでもなっちゃうじゃないか。
深愛なる友人よ、
僕には無理な話でした。
僕には出来ない答えがある。
こうして散策しながら考えてみても。
この場所で彼女と手を繋ぐ事を想像してみたんだけど、それは無理な話だったよ。
