東京へ立ち寄らなくてはいけない。
汚れた雪が車に纏わり付いている。それを気に掛けても誰かが褒めてくれるわけでもない。車のヘッドライトくらいしか、もう誰にもわからないから。霧は人も車も隠してしまった。
豊中のロマンチック通りから白糸ハイランドウェイの誰もいない料金所に辿り着く。薄気味悪い道だった。雨が靄になり、霧を産んだ。ほとんど何も見えない。街灯のない蛇腹道の輪郭を赤と黄色の反射板が教えてくれる。しかし、間に合っていない。
僕は白糸ハイランドウェイの坂道を時速80Kmを越えて駆け抜けようと何度も試みる。右足は浮きっぱなし。僕が手助けしなくても、車が勝手に落ちていく。何度も道が途切れてしまう。その度にブレーキペダルを力任せに踏み込む。道が右に続いているのか、左に向かっているのかもわからない。もう少し進むと霧に塗れてしまう。
口角が上がる。
落ちたら、きっと助からないってわかる。
