「こんな世の中を変えてみたいと思わなきゃいけない。田舎でただ暮らしていく為に仕事して、世の中が変わらないから仕方ないと諦めて、ただ昔からの友人達と連むことで、ぼちぼち幸せにやってますなんて生き方、俺には出来ない。ロブロイ君もそうだよ。世界はどんどん変わっている。そんなこともここにいる人達は知らないし、知ろうともしない。君達みたいな若い人達が、もっとこの国を変えていこうとしていかなきゃいけない」
確かに彼が言う事も一理あると思った。
でもそれが全てではないから、僕は返事をしなかった。
彼は世界や人を変えていこうとする人なので、僕は世界やら人を変えられてしまうことを受け容れる人でいようかと考えていた。
この世の全ての人が何かを変えようとしていたら、みんなが途中で何を変えてきたのか、きっと迷っちゃうだろうなって思ったから。
世の中には、変える人間と変えられてしまう人間がいなくてはいけないし、変えようと突き進む人間とそれを支える人間も必要になる。世界を変える為に日々忙しなく動いて、そこに幸福を求めても良いだろうし、ずっと変わらない時間を眺めて幸せを感じてもかまわないだろうって思う。愛も幸福も様々。これもあるし、それもあるって認める事は必要だと思ってしまう。
だから、「ぼちぼち幸せにやってますなんて生き方、俺には出来ない」だとその幸せをまだ理解しようとしていないのかなって感じてしまう。
知らないと愛せない。
それを愛さないと理解できない。
貴方の幸福も僕は認めるよ。
でも、それが全てではない。
だからね、とても難しいよ。
人の幸福や価値を変えるのは。
