Eの家にある本棚はぐちゃぐちゃだった。
運動や身体機能に係る図録が倒れかけているのを、夏目漱石の作品集が堰き止めていて、その隣には広々とそこで休む音楽史や哲学書が見える。
僕の興味はその下の階層へと眼を移す。
色診断。
自分で好みの色を選択する。
選択した色により性格が分かるそうだ。
選択した色の順番も関係する。
自分の行動や思考の基準をその順番が示してくれる。
つまり僕のようにふわふわした妄想癖で、時々旅にでも出ようかとどっかに行ってしまうこともありながら、日記を毎日書き、音譜もコード理論も解さずに感覚でギターをポロンポロンして、職場へ向かう電車の窓から桜並木が見えた後、居ても立っても居られなくて、途中下車して散歩を始め、出勤時間の1時間30分後に気持ち良く出社する男が好きな色は
冷静沈着、論理的な思考を好み、計画的かつ慎重で、素朴さがあり、普遍的で地に足の着いた様な生き方をするしっかり者といった性格の根幹を示しているわけですね。
というわけで、しっかり者の僕は思う。
Eの本棚は面白いけど信用できない。
